細胞と生命を考える(生きものは多様で精妙で美しい) B10001

細胞と生命を考える(生きものは多様で精妙で美しい) 其1 B10001

標題のブログを書き記そうという気持ちになったきっかけは3年前に脳梗塞を発症し、幸いにも救急医療の迅速・適切な対応のお陰で大きな後遺症もなく社会復帰できたので従前以上に「生老病死」に想いを致し「生命(いのち)」に尽きぬ関心を持つようになったからである。(A1001:参読)

当ブロガーは東京大学医学部名誉教授 矢作直樹先生著「人は死なない(ある臨床医による摂理と霊性をめぐる思索)」を愛読信奉する、満86歳の後期高齢者である。

 

それでは、まず本節ブログの前書きから始める。

孔子「論語」の「子曰く、四十にして迷わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順。」はよく知られているが、われわれ(私)は幸運にも八十代まで生を得て余生を味わえている。 人生の終わりが近づきつつある昨今、「生命とは何なのか」について、想うことが多くなってきた。ゴーギャンが「我々は何処からきたのか、我々は何者か、我々は何処に行くのか」と名づけた晩年の名作に一段と引き込まれるものである。だれもが想う人生の命題であろうか。 本節のブログでは、A「生命とは、生きているとは」、B「生物の起源、人類の誕生と進化」、C「細胞、遺伝子、ゲノムの驚異」をテーマに取り上げ出来るだけ平易にお話しさせていただく。(より詳しくは専門書を参照されたい)                                              ここ半世紀余り、人類遺伝学や分子生物学の面から、専門家の研究がずいぶん進展し、成果の蓄積には目を見張るものがある。とくにゲノムの解明は、生物すべてが形質は大きく異なれども始祖を同じくする「ゲノム縁}の兄弟であることを教えてくれた。「みんなちがってみんないい!!!」である。 

 

 

 

 

人の身体は60%が水で構成されている(A1303)

成人の場合、体重の約60%が水で構成されていると一般的に言われています。しかし、これはあくまで平均的な数値であって、実際には年齢や性別、体脂肪率などの要因で変わってきます。

たとえば、赤ちゃんは成長過程において水分量が多く、体重の75〜80%を水が占めることもあります。

また、成人では男性は筋肉量が多いため水分比率が比較的高く、女性は体脂肪が多い傾向からやや低くなることがあります。

また、高齢者は年齢とともに体内水分比率が低下する傾向にありますが、まずは筋肉量の減少が大きな理由です。

これらの違いは、体内の組織構造や代謝の性質に起因しているんです。

なお、体内の水は細胞内外の化学反応、栄養素や酸素の運搬、体温調節、老廃物の排出など、多岐にわたる生命活動に不可欠な役割を果たしています。

このように、人の体は大まかに60%が水で構成されているというのは有用な目安ですが、個々の体質や状況によりその割合は多少上下するため、常に自分の体調や環境に応じて水分補給を心がけることが大切です。

 

体内で水はどのように分布しているか

体内の水は、およそ40兆個あるといわれている細胞の内に約40%、細胞と細胞の隙間(間質)や血管の中など、細胞の外に約20%分布しています。

 

たとえば、体重70㎏の成人の場合下表のようになります。

細胞内液 (ICF): 体内の水分の約2/3は細胞内に存在します。            ここでは、栄養素の代謝や老廃物の処理、酵素反応など、生命活動の根幹となる化学反応が行われています。細胞内液は細胞膜によって守られており、その環境はとても精密に調整されています。 

細胞外液 (ECF): 残りの約1/3は細胞外液として分布しており、さらに以下のように細かく分けることができます。 

間質液(組織間液): 細胞と血管の間にあり、栄養分の供給や老廃物の排出を補助する役割があります。細胞外液のおよそ75%を占めます。

血漿: 血液中に存在し、酸素、栄養素、ホルモンなどを全身に運搬する役割を果たします。これは細胞外液の約25%を占めます。 

その他のトランスセルラー: 脳脊髄液、消化液、関節液など、特殊な部位に存在する液体がありますが、量としては非常に少ないです。

人の体のおよそ40兆個の細胞はいろんな役割の細胞に分化しており、さらに分化した細胞が多数集まって器官、臓器を構成しています。

各種器官、臓器などの含水量はA1304のブログで紹介します。A1303

 

 

人の細胞、器官、臓器の水の含有量(A1304)

人間の体は、その機能や構造に応じて、極めて多様な水分含有率を示しています。基本的に成人体全体は約60%が水ですが、細胞レベルで見れば、多くの細胞は約70~95%という非常に高い割合の水分を含んでいます。

これは、細胞内の代謝反応や栄養素の輸送、老廃物の除去など、生体内のほぼすべてのプロセスが水を介して行われるためです。

また、各臓器・器官ごとにも特徴的な水分量があり、機能の活発な臓器ほど高い水分含有率を示す傾向があります。以下の表は一般的な目安です: 

 

細胞単位での水分

細胞内の水分: 多くの細胞は、70~80%もの水分を含んでおり、細胞内液(intracellular fluid)がその大部分を占めます。これは、細胞内での代謝活動や栄養素・老廃物の輸送、化学反応の媒介に水が不可欠なためです。

器官・臓器ごとの水分含有率(概算)

上記の表は、主要な器官や組織のおおよその水分含有率を示しています。なお、数値はあくまで一般的な目安であり、個人差や測定方法、年齢、健康状態により変動することがあります。

このような高い水分含有率は、体内での代謝、栄養素や酸素の運搬、温度調整、排泄など、生命活動を維持する上で非常に重要な役割を担っています。

また、各臓器や組織の水分バランスは、その機能に密接に関わっており、例えば脳や腎臓、心臓は特に高い水分含有率を必要としています。

水分摂取やバランスの維持は、健康管理や病気の予防にとっても重要な要素です。 これを踏まえると、普段の生活で十分な水分補給を意識すること、特に運動時や高温環境下では意識的に水分を摂ることが求められます。

さらに興味深いのは、体内の水分は単なる静的な存在ではなく、絶えず循環し、体内環境を一定に保つための重要な役割を果たしている点です。

この点に注目すると、細胞や臓器の水の働きは、単に「存在する」だけでなく、私たちの健康を支える「ダイナミックなシステム」の一部であると言えるでしょう。A1304

生きものの”いのち”の進化(A1202)

生きものの「いのち」の進化は、数十億年に渡る壮大な物語です。 生命の起源は、約38億年前の地球において、無機物から自己複製能力を持つ分子が現れたことに始まります。 初期の生命体は非常に単純な構造の単細胞生物でしたが、偶然の遺伝子変異と自然淘汰の積み重ねにより、徐々に複雑な形態へと変化し進化していきました。

ダーウィンが提唱した自然淘汰の理論は、この進化の過程を理解する上で基本的な枠組みを提供しています。 すなわち、環境に最も適応した生物が生き残り、子孫にその形質を伝えるというプロセスが、時とともに多様な種を生み出し、生命の連鎖を作り上げてきたのです。 各時代ごとに環境の変動―気候の変化、地殻変動、隕石の衝突など―が、進化の過程に影響を与え、新たな進化への可能性を開いてきました。

また、分子生物学の進展により、DNAやRNAという遺伝情報を担う分子の重要性が明らかになってきました。 特に「RNAワールド仮説」に代表される理論では、初期の生命においてRNAが情報保持と触媒機能を同時に担い、その後にDNAがより安定した情報保存機構として進化していったと考えられています。 これにより、細胞の内部での複雑なプロセスや多様な機能分化が可能となったと考えられています。

そもそも、これらの進化がおこるもとになるのは遺伝子の変異が起こることによるわけですが、その遺伝子が変異する要因の例を挙げると下表のような分類ができます。

 

 

さらに、単細胞生物から多細胞生物への進化は、生命史上の画期的な転換点になりました。 多細胞化により、個々の細胞が役割分担を行い、より複雑な組織や器官が発達しました。 この過程では、細胞同士の協調とコミュニケーションが極めて重要となり、共生説や内共生仮説といった新たな見地からもそのメカニズムが探求されています。 たとえば、ミトコンドリアの起源は、独立した細菌が他の細胞と共生関係を築いた結果と考えられており、これが多細胞生物のエネルギー供給システムとして機能するようになったのです。 

 

そして、進化は常に続いており、たとえ絶滅や環境変動があったとしても、新たな挑戦と機会が生まれるサイクルを形成しています。 恐竜の絶滅後に哺乳類が台頭し、やがて霊長類が進化の頂点にたどり着くなど、生命は予測不能な試行錯誤を繰り返しながら今日の多彩な生態系を築いてきました。 

現在、進化を説明する理論として最も支持されているのは進化の総合説と呼ばれるもので、ダーウィンとウォーレスの自然選択説と、メンデルの遺伝子の理論、集団遺伝学の理論や木村資生の中立進化説を統合したものです。この総合説によれば、突然変異によって生じた遺伝子の変異はランダムでない自然選択と、確率的に起こる遺伝的浮動によって個体群中に固定し、新しい形質の出現や種分化などの進化現象を引き起こすと考えられています。 

この広がりと多様性は、生命が単なる偶然の産物ではなく、環境との絶え間ない相互作用や厳しい選択圧力を乗り越えることができたもののみが、いのちを子孫に継承できたということに尽きるわけで、まさに不可思議であり、神秘的ともいえる結果であるともいえます。

進化は静的なものではなく、常に変化し続けるプロセスです。 現代の科学では、遺伝子工学ゲノム解析、さらにはCRISPR技術などが、進化の微細なメカニズムを明らかにしてくれています。 今、現代においても、自然界のすべての生きものは絶えず進化し続けているといえます。

CRISPR技とは

CRISPR技術(クリスパー)は、DNAを編集するための革新的なツールのことです。この技術は、もともと細菌の免疫システムからヒントを得て開発されたもので、特定の遺伝子を「切り取り」「貼り付け」するように編集できます。

例えば、遺伝性の病気の治療や、新しい農作物を作り出す研究に活用されている。未来に向けての可能性がたくさん詰まった技術ですが、同時に倫理的な課題やリスクについても、多様な面から議論が必要とされているところです。A1202

 

 水はいつ、どこで誕生したのか(A1101)

 地球はよく「水の惑星」とか「生きた星」と呼ばれますが、それは地球の表面の約70%が水で覆われているからです。この水の大部分は海洋に存在し、宇宙から見ると地球は青く輝いて見えます。また 地球規模の水の大循環の影響で、大地、海洋、大気などに様々な環境変化を引き起こし、まさに地球そのものを「生きた星」にしているともいえます。 また、今のところ生命が発生したことが確認されている惑星は地球だけですが、その「生命の発生」には海(水)の存在が欠かせないと考えられています。 地球を「生きた星」にしているのも、「生命の発生・生存の星」にさせているのも、すべては水のおかげであるともいえます。 

 

宇宙に水ができたのはいつ

水が宇宙で誕生したのは、星々の誕生と深く関わっています。

水が宇宙で誕生するには、まず水の成分である水素と酸素が必要です。

宇宙のビッグバン直後には、主に水素とヘリウムといった軽い元素しか存在していなかったけれど、星の内部での核融合によって酸素などの重い元素が生まれ、その後、星が寿命を迎えて爆発(超新星爆発)すると、酸素が宇宙空間に放出され、それが水素と出会い、特定の条件下で化学反応を起こして水の分子(H₂O)ができたのです。

この過程で誕生した水は、彗星や小惑星にくっついて存在し、地球などの惑星に運ばれてきたと言われています。 A1101